あのDropboxを救った?!<神>説明動画

この伝説の説明動画知っていますか?
そう、これは2009年に公開されたDropboxの説明動画です。
当時Dropboxはまだまだ無名に近いスタートアップだったのです。
実はこの2分17秒の動画が制作された後にDropboxのホームページ中央に数年間も掲載され続けたんですよ。覚えている人いるかなぁ。
当時1日に3万回も再生されたんだとか。
この間、Dropboxはあれよあれよとユーザーを増やし、ついには1億ユーザーに到達した。
もちろんこんなユーザーが増えたのはこの説明動画が全ての理由でないにせよ大きな貢献をしたことは間違いない。だからDropboxはこの説明動画を長く使い続けたわけだ。
さてこの説明動画作った会社を知っていますか?
そう、かの有名な(ってあまり知らないか。。)アメリカ・シアトルベースの
Common Craftという会社なのです。
Lee LeFever、Sachi LeFeverという夫婦がやっている会社なんですよ。
彼らは2007年から動画制作を始めてDropboxだけでなくTwitterやGoogle Docsもやっているんですよね。
そんな彼らの動画スタイルは”コモン・クラフト”スタイルという言うんだけど、何がそんなに効果的で何故Dropboxをあそこまで押し上げたのかをこの動画から成功を学ばせてもらいましょう。
ユニークな表現スタイル
このスタイルはカット・アウト(Cut out)アニメーションで日本語風に言うと「切り絵」アニメーションということになるでしょうか。
ただその切り絵部分が普通ではない、どことなく無表情で不格好??だと思いません?
ここがミソなんですよね。
まずは、普通でないことは視聴者の印象に残ります。
ちょっとグチになりますが、
最近は本当にカラフルな華やかなアニメーション動画を多く目にします。
最近流行りのフラットデザインを採用したモーショングラフィックスです。
※あえてここで事例は出しませんが。。笑
でもみんな同じように見えて印象に残りますでしょうか?
華やか、キラキラ過ぎて目が痛くなります。。僕はたくさん見すぎかもしれません。。笑
かっこいいけどメッセージは伝わりますか?
そして、最も特徴的なのはこの無表情・不格好です。。
この無表情は、イラスト自体に顔や特徴がないので視聴者自身が創造して、そしてこのイラストに投影します。あなたはこのストーリーの主人公になれるし、物や背景もあなたの状況に合わせることができるのです。
つまり、そのストーリーを”自分ごと”化することができるのです。
よく解説・説明動画で利用されるシナリオで「問題」を提起して、その「解決策」を提示するのですが、
そのストーリーの中で展開される問題を自分の問題として捉えてもらうことができるので動画制作の本来の目的であるメッセージをより視聴者へ伝えることができるのです。
あなたの動画はかっこいいだけの自己満足動画になっていないでしょうか?
状況設定と比喩(ひゆ)
これはLee LeFeverのシナリオ作成技術です。
先の動画では一見Dropboxには関係ない状況を設定します。
それも日常誰にでも起こる状況です。
・財布をどこかに忘れる
・鍵をどこかに置き忘れる
この2つに共通されるのは「無秩序」という問題です。
この問題を解決してくれるのは”Magic Pocket”なんですと。
DropboxとMagic Pocketには一見関連性はありませんが実は同じ価値を提供しています。
それは問題である「無秩序」を「秩序」へ変えること。
そしてそれがまさにDropboxの企業価値なのです。
それを比喩的に伝えているのですね。
この状況設定後は徐々に実際のDropboxの利用法へつなげて行っています。
動画制作ではしっかりとした状況設定が必要であることが分かります。
短く、かわいらしく
動画制作においてここは結構重要だったりします。
長編ドラマや映画のような90分、120分のストーリーに対して解説・説明動画は90秒、120秒の世界です。
どんなに良いシナリオを作っても解説・説明動画は残念ながら180秒が限界です。
理由はそんな長い解説・説明動画を誰も見ないから。。笑
Dropboxも正直なところ、”ただのMagic Pocketじゃないぞ!”と思ったかもしれません。
”も~とスゴイ機能が盛りだくさんなんだよ!”と言いたかったかもしれません。
しかしここをグッと我慢して、目的である”ユーザー登録”増に集中したのです。
目的な決してスゴイ機能を説明することではありません。
Dropboxの企業価値を伝えるためなのです。
自慢したいスゴイ機能に時間を使ってはいけません。
短い時間の中で1つのメッセージを伝えればいいのです。
そして、かわいさ・ユーモアも時には必要です。伝説のうさちゃん。
まとめ
この動画がDropboxのウェブサイトに掲載された当時、多く人がDropboxの存在を知らずまだ”クラウド”という言葉がよく理解されていなかった時代においてDropboxのビジネスコンセプトを説明するのが非常に大変であったと思います。
Dropboxがここまで大きくなったのはこの動画のおかげとは言いませんが、多大なる貢献をしたことは間違いありません。
この動画から学んだこと。
・ユニーク性、独自性を大切に
・まず状況設定をしっかりと
・短く、かわいらしく
最後にCommon Craft社のLee LeFeverによる著書を紹介しておきます。